第10章 原子力産業

2 核燃料加工産業

 現在,我が国で稼動中の商業用原子力発電所は,日本原子力発電(株)の東海発電所の1号炉を除き,すべて軽水炉であり,今後も当分は軽水炉中心に建設が進められるものと考えられる。
 これに伴って低濃縮ウラン燃料の需要は急速に増大すると見込まれる。我が国の核燃料加工は核燃料サイクルのうちで最も事業化が進んだ分野であり,ジルカロイ被覆管製造及び燃料体製造を中心にほぼ国産化体制が整っている。
 濃縮されたUF6からUO2の粉末への再転換については三菱原子燃料(株)の東海製作所(年産約420トン,U換算)が操業しており,住友金属鉱山(株)の東海核燃料工場(年産約220トン,U換算)も処理能力を有している。加圧水型炉用燃料については,その大部分を三菱原子燃料(株)が再転換しており,沸とう水型炉用燃料については,現在のところ住友金属鉱山(株)による国内生産のほか米国GE社で再転換されている。UO2から最終製品である燃料集合体への成型,組立加工は,沸とう水型炉用燃料に関しては日本ニュクリア・フュエル(株)がGE社から導入した技術をもとに横須賀工場(年産490トン,U換算)を操業中である。加圧水型炉用燃料については,三菱原子燃料(株)がWH社から導入した技術をもとに東海製作所(年産420トン,U換算)-を操業中である。

 この両社の他,直接外資との結びつきを持たない原子燃料工業(株)は,燃料加工の研究開発を進め,昭和50年8月に軽水炉燃料の加工について事業の許可を得,熊取製造所(年産85トン,U換算)が加圧水型炉用燃料工場として操業中であり,更に沸とう水型炉用燃料工場として,昭和53年9月に東海製造所(年産40トン,U換算)が軽水炉用燃料の加工についての事業の許可を得,昭和55年1月より操業を開始した。
 ジルカロイ被覆管については,(株)神戸製鋼所,住友金属工業(株),三菱金属(株)によって,ほぼ国産化が達成されており,今後はジルコニウム鉱石から被覆管等の製品に至る一貫した国産体制の確立を図る必要がある。


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