第8章 放射線利用
2 放射性同位元素等の取扱いに係る安全管理

(4)放射性同位元素等の安全管理対策の実施

 近年放射性同位元素や放射線発生装置が著しく普及拡大しているが,その取扱いに係る安全の確保については,昭和54年度は,科学技術庁において,放射線障害防止法の許認可等の厳止な審査等につとめるほか,次のような施策を実施した。
① 立入検査等監督指導の強化を図るとともに関係11省庁からなる「放射線障害防止関係省庁連絡会議」により関係行政の円滑かつ効果的な実施を図った。
② 自主的安全活動を進めるため,「放射線障害防止中央協議会」と共同して放射線安全管理講習会を開催した。(大阪,福岡)
③ 東海地区震災対策や医療機関事業所の安全対策を重点として全国425の事業所に対し立入検査を実施した。
④ 放射線利用の最近における急速な拡大,その利用形態の多様化及び放射線防護に関する国際的基準の整備の進展状況にかんがみ,放射性同位元素等の利用に関する規制についてその合理化を図りつつ充実強化を期するため,第91回国会において放射線障害防止法を改正し,
 イ 放射性同位元素装備機器の放射線障害防止のための機構の設計承認,確認の制度の創設。
 ロ 一定量以上の放射性同位元素又は放射線発生装置を使用する施設についての使用開始前の施設検査及びその後の定期検査制度の創設。
 ハ 放射性同位元素等の運搬の技術基準を事業所の内と外にわけて定めるとともに,事業所外において一定量以上の放射性同位元素を運搬する場合の確認制度の創設等,規制の整備。
 ニ 放射線取扱主任者免状交付に当り講習を義務付けるほか,新たな種類の主任者免状を設ける等放射線取扱主任者制度の改善。
 ホ 上記施設検査等について,その円滑な実施を図るため,民間の指定機関にこれらの業務を実施させることができることとする。
 等所要の措置を講ずるとともに,講習実施のために必要な講習施設整備の経費を55年度予算で計上した。
 なお,同法の改正に伴う施設検査等の新規業務及び従来国が行っていた放射線取扱主任者試験の実施事務を国に代って行うため,昭和55年10月1日(財)放射線安全技術センターが設立された。
⑤ 放射性廃棄物の海洋投棄に関する規定を整備するため,原子炉等規制法及び放射線障害防止法を改正した。


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