第8章 放射線利用
2 放射性同位元素等の取扱いに係る安全管理

(3)放射性同位元素等取扱事業所における紛失等の事故等

 放射性同位元素に係る紛失,被ばく等の事故等は,昭和54年度には,紛失2件,被ばくが1件,その他1件であり,発生した事故等の概要は次のとおりである。
① 昭和54年5月,日立造船非破壊検査(株)大阪事業所桜島作業所において,非破壊検査装置の線源ホルダーがワイヤーからはずれ,コバルト―60線源(10キュリー)が収納されていないことを知らずに従業員等が照射室に立ち入り,従業員1人が局部に被ばく(全身吸収線量約12ラド相当)した。
 この結果,15日間の使用停止を命じた。
② 昭和54年8月,尾張分析技術センター機器分析室におかれていたニッケル―63ガスクロマトグラフ装置が所在不明となったが,同装置は債権者の1人が移動したものと判明した。その後返還され,装置に異常のないことが確認された。
③ 昭和55年3月,文部省高エネルギー物理学研究所で共同実験に使用している測定器校正用線源ストロンチウム―90,1ミリキュリーが紛失していることが判明したが翌日発見された。
④ 昭和55年3月,通商産業省工業技術院電子技術総合研究所田無分室においてラジウム-226,10ミリグラム密封線源1本が紛失していることが判明したが,その後当該線源をコバトル-60,500ミリキュリーと誤認して廃棄のため日本アイソトープ協会へ引き渡していたことが確認された。


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