第8章 放射線利用
2 放射性同位元素等の取扱いに係る安全管理

(1)放射性同位元素等の許可及び届出

 放射性同位元素の取扱いに伴う安全性の確保については「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法),労働安全衛生法,医療法,薬事法等に基づき,所要の規制が行われている。このうち放射線障害防止法による規制の概要は以下のとおりである。

・ 放射性同位元素又は放射線発生装置を使用しようとする者。
  ・ 放射線同位元素を業として販売しようとする者。
  ・ 放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染されたものを業として廃棄しようとする者。
は,科学技術庁長官の許可を受けなければならない。
(密封された放射性同位元素の1工場又は1事業所当りの使用総量が100ミリキュリー以下の場合には届出)
② 取扱いを開始する前に,放射線障害予防規定の作成,届出,放射線取扱主任者の選任,届出をしなければならない。
③ 取扱いに当っては,総理府令で定める使用,詰替,保管,運搬(手運びの場合に限る。但し,その他の運搬手段による運搬については,運輸省令で定める。)及び廃棄の技術上の基準に従って行うとともに,使用,保管等の記帳,従業員の被ばく線量測定等を行わなければならない。
 これら使用の許可や販売,廃棄の事業の許可に当っては,事業所等から申請された使用,詰替,貯蔵,廃棄施設等の内容について,同法に規定する許可基準に適合しているか否かを厳正に審査したのち,適合しているものについて許可(届出の受理)をしている。
 このような規制により,作業従業者等の安全を図るばかりでなく,線量率の測定の義務付けや排気,排水中の放射性同位元素の濃度を規制すること等により,事業所外の一般公衆の安全の確保を図っている。
 これらの事業所は,教育機関をはじめ研究機関,医療機関,民間企業等多岐にわたり,その数も年々増加している。使用事業所については,昭和54年度には新たに118事業所が使用の許可を受け,193事業所から使用の届出があった。また,使用の廃止等の届出が許可事業所から85件,届出事業所から73件行われた結果,前述のように昭和54年度末の使用事業所数は3,979事業所となった。
 販売事業所は,昭和54年度には6事業所が許可され,3事業所から廃止の届出が行われた結果,合計178事業所となり,廃棄事業所は昭和54年度には事業所が許可され,合計8事業所となった。
 なお,昭和54年度末の使用,販売,廃棄事業所の総計は4,165事業所となっている。


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