第8章 放射線利用

1 放射線利用の動向

 放射性同位元素(RI)や各種放射線発生装置を利用する事業所は,医療,農業,工業等の各分野において逐年増加しており,昭和55年3月末現在では,放射線障害防止法の許認可に係るもののみでも3,979件にのぼっている。
 これは昭和54年3月末の3,822事業所に比して約4%増,また昭和33年度304事業所に比べると約13倍の伸びとなっている。
 このような放射線利用における実用化の進展とともに各分野での研究開発も積極的に推進されており,そのため放射性同位元素の需要も毎年増加してきているが,特に63Ni(電離型検出器用),147Pm(自発光塗料用),99mTc(標準医薬用)などの核種使用が急増している。
 これらの供給については,外国からの輸入のほか日本原子力研究所を中心として需要の多い核種,海外に依存することの困難な短寿命核種に重点を置いて国内生産の量産化を進めている。また,放射線医学総合研究所で医用サイクロトロンなどを用いた短寿命RIのオンライン生産等積極的に研究開発が進められている他,民間の放射性医薬品製造会社でもサイクロトロンを建設して短寿命RIを製造している。なお,原子力委員会は放射線利用に関し,放射線化学及び加速器の医学利用の研究開発の推進等について調査審議するため,昭和55年11月25日,放射線利用専門部会を設置した。


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