第5章 保障措置及び核物質防護
3 保障措置技術に関する研究開発

(1)我が国の保障措置技術開発の状況と今後の方向

 我が国はNPTを批准して以来,関連保障措置技術開発を進めてきたところであるが,INFCEの結論等の国際的要請に応えて,我が国も保障措置技術の改良に積極的にとりくむことが必要な状況にあると考えられる。同時に我が国への保障措置の適用をできる限り効率的なものとするため,我が国独自の保障措置技術開発を進めることが,今後の原子力開発利用において重要性を増すものと判断される。
 このため,昭和55年度においては,再処理施設に対する保障措置技術について,従来より実施してきた日,米,仏,IAEAによる共同研究を進める他,我が国独自の研究開発を進めており,原子力平和利用研究委託費により,「再処理施設に対する改良保障措置の適用に関する研究」を実施している。
 また,遠心分離法ウラン濃縮施設に関する保障措置技術開発については,日本,米国,トロイカ,豪州,IAEA及びユーラトムの6者による国際協力プロジェクトが昭和55年11月7日に発足した。このプロジェクトは,遠心分離法濃縮施設を有している国,計画を有している国及び関係国際機関が,遠心分離法濃縮施設に対する効果的かつ効率的な保障措置の適用を目標にして情報交換等により国際協力を行おうとするものであり,一応2年間を目途にして作業が進められることとなっている。

 その他,日本原子力研究所,動力炉・核燃料開発事業団において,燃焼率測定技術の開発,非破壊検査,装置の開発等を進めている。((表1参照))
 我が国にとって,今後このような保障措置技術開発をIAEA等諸外国との協調の下に国際的な枠組の中で実施していくことが,核不拡散への貢献と原子力開発利用の推進を図る上で必須の条件となっている。


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