第4章 国際関係活動
4 研究開発に関する国際協力等

(3)国際機関との研究開発協力

 我が国は国際原子力機関,経済協力開発機構等の主要メンバー国として国際協力を活発に進めている。

① 国際原子力機関(IAEA)
 独自な憲章をもち,国際連合と密接な関係にある国際原子力機関(110ヵ国加盟)は,全世界を通じ,原子力の平和利用を育て,奨励し,指針・助言を与えるとともに,保障措置を実施している。
 昭和55年9月,オーストリアのウィーンで開催された第24回IAEA総会には,中川科学技術庁長官が日本政府代表として出席し,代表演説を行った。中川長官は,
(イ) エネルギー需給における原子力の重要性と我が国の取り組み方
(ロ) 安全性の確保
(ハ) 核拡散の防止
(ニ) 開発途上国への技術援助
 等について我が国の基本的考えを述べた。同演説は,原子力開発に関する我が国の意欲及び核拡散防止に対する我が国の積極的姿勢を示すものであった。
 また,我が国は,同機関の主催する原子力利用に関する各種シンポジウム,専門家会合等に多数の専門家を派遣し,情報の収集と交換を行う一方,特に「原子力発電の安全性に関する国際的基準作成の為の諮問委員会(SAG)」には,その下部機関である技術検討委員会(TRC)も含め専門家を派遣し同機関の行う基準策定作業に積極的に貢献している。
 なお,IAEAは昭和54年3月の米国における原子力発電所事故の教訓を踏まえて原子力発電所の安全問題に関する国際会議を昭和55年10月にストックホルム(スウェーデン)で開催したが,本会議には我が国からも原子力安全委員を始め,関係省庁職員,専門家,電気事業者,メーカーの多数の関係者が出席した。

② 経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)
 同原子力機関においては,従来どおり「原子力安全」,「放射性廃棄物管理」,「原子力の開発と核燃料サイクルの経済的,技術的検討」,「公衆の放射線防護」の四大重点分野を中心に諸活動が進められた。
 また,昭和54年は特に,米国の原子力発電所事故を踏まえた安全面での協力関係の強化,INFCE後への対応,放射性廃棄物管理の現状と評価等について検討が進められた。
 更に,我が国は「NEAデータバンク」,「OECDハルデン計画」,「新国際食品照射計画」,「国際ウラン資源評価計画」等の各プロジェクトに参加し資金分担及び専門家を派遣する等同機関の事業に対し貢献を行った。
 なお,昭和54年4月,同機関の最高決議機関である運営委員会の議長に,村田浩,前日本原子力研究所理事長が選出された。同委員会議長に欧州域外の国の代表が選出されたのは村田氏が初めてであり,これを機会に我が国は昭和56年4月の運営委員会を東京に招へいすることを検討中である。


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