第4章 国際関係活動
2 各国との原子力協定の動き

(3)日加原子力協定の動き

 日加原子力協定は,カナダからのウラン輸入を目的として,昭和35年に発効して以来,10年間の有効期間を経た後も,6カ月前の廃止の事前通告がないことにより,自動延長されている。
 カナダは,インドの核実験を契機に,昭和49年12月,保障措置の強化を目的とする新ウラン輸出政策(昭和51年12月追加)を発表し,我が国も含め,原子力協定締約国に対し,原子力協定改正交渉の申し入れを行った。

 我が国は,このようなカナダからの申し入れを受け,昭和52年1月に,東京において第一次交渉を行って以来数次にわたる交渉を経,途中カナダの対日ウラン禁輸措置はあったものの,昭和53年1月に合意に達した。
 同年8月に,園田外務大臣とホーナーカナダ通産大臣との間において,日加原子力協定改正議定書の正式署名が行われた。同議定書は,昭和55年5月,第91回国会において批准承認を得て,所要の準備作業を経た後,昭和55年9月2日に発効した。
 なお,主要改正点は,次のとおりである。
① 規制の対象として,核拡散防止上「機微な情報」(濃縮,再処理,重水生産及び重水減速炉に関する情報)等を加える。
② 事前同意の対象として,規制対象核物質等の「第三国移転」及び「再処理」の他に,新たに「20%以上の濃縮」及び「プルトニウム及び高濃縮ウランの貯蔵」を加える。
③ 核物質防護に関して,国際的な水準に沿った措置を講ずることを加える。


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