第２章 安全の確保,安全の実証及び環境保全のための調査研究等
４ 温排水に関する調査研究
温排水問題は,原子力発電所に限らず火力発電所においても共通の課題となっており,その環境への影響と有効利用に関する調査研究が行われている。
環境庁においては,温排水が環境生物等に与える影響を予測するための手法の確立調査を行っているが,昭和52年度から温排水環境容量を算定するための基礎調査を,また昭和53年度から温排水中放流の拡散予測手法を確立するための調査研究を行っている。更に,昭和54年度には,温排水を含む冷却水の取放水に係る環境影響評価の方法に関する調査研究を行った。
農林水産省においては,昭和50年度から温排水の水産環境への影響の事前評価手法の開発を目的として,モデル水域を設定し,大量の温排水による拡散状況及び生物に与える影響,漁業資源への影響等について,調査を行っている。
通商産業省においては,大規模発電所取放水影響調査として原子力発電所の復水器の通過によるプランクトンへの影響の調査,温排水拡散域における魚類行動の実証試験及び冷却水取込等のプランクトン取込量分布等の調査を民間に委託して行うとともに,魚介類の増養殖に関する温排水の有効利用の調査研究を地方自治体に委託して行っている。
また,科学技術庁においては,放射能調査対策研究の一環として原子力発電所から放出される温排水中に含まれる極微量の放射能の海産生物への影響に関する対策研究を,昭和46年度より(財)温水養魚開発協会に委託して行っている。
さらに,昭和49年度より都道府県に対して,温排水影響調査交付金が交付され,発電所周辺における温排水の影響調査が実施されている。
また,昭和50年12月には(財)海洋生物環境研究所が設立され,国,原子力施設周辺の地方自治体,電力会社等からの委託等により,温排水の海洋影響,水産生物等に与える影響に関して調査研究が行われている。