第1章 原子力発電

5 軽水炉の改良・標準化等

 軽水炉の改良,標準化については,通商産業省において原子力発電機器標準化調査委員会及び原子力発電設備改良標準化調査委員会が設けられ,検討が進められた。昭和52年度には,第1次改良標準化計画が終了し,現在,昭和55年度末を目標に第2次改良標準化計画を推進している。
 改良については,第1次標準プラントをベースにさらに改良を加えることにより,一層の信頼性の確保,トラブル根絶を目指すとともに,検査の効率化を図ることにより稼動率を向上させていくことが重要である。さらに従業員の被ばく低減も原子力発電推進の大きな課題であり,引き続き,積極的な改良が必要である。
 第2次改良標準化の目標は,信頼性については,第1茨・と同じくノートラブル,定期検査日程については,第1次の85日程度から70日程度とし,稼動率については,時間稼動率を第1次の75%程度から85%程度へ,設備利用率については第1次の70以上を75%以上に,また従業員の被曝については,従来プラントを100とした場合の第1次の65〜75%を30〜50%へと低減することとしている。
 この目標の実現をめざして,BWRでは炉心設計の改良,制御棒駆動機構の改良等を実施してきており,昭和54年度には,「燃料シッピングの改善」,「給水ノズル熱応力低減」を終了した。またPWRでは蒸気発生器の改良,水質分析装置の自動化等をしており,昭和54年度には,「原子炉容器蓋一体化吊上装置の開発」,「蒸気発生器水室内作業用マニピュレータ装置及び塔載装置の開発」,「蒸気発生器水室用ノズル蓋の改良」,「除染法の改良」,「新タイプ高圧用無漏洩弁検討」,「配管用自動UT装置及びISIデータファイリング処理システムの開発」,「負荷変化追従運転制御方式の改良」を終了した。
 また,原子力発電所の信頼性をより一層高め,事故,故障の被害を極力低減する観点から,原子力発電所の運転に関して責任を持つ運転員の負担を軽減すべく,運転員の判断及び放射線管理下における点検作業等を支援するシステムの開発を行うため,通商産業省より昭和55年度から5カ年の計画で原子力機器産業に対し補助金が交付されることとなった。
 また,標準化については,次のような目的を持って耐震設計を含めた一層の標準化範囲の拡大,許認可関連事項の標準化を実施することが必要である。
(i) プロジェクトの計画,建設期間の短縮化
(ii) 機器設備の量産化(信頼性の向上,経済性の向上)
(iii) 重要機器故障時の代替品調達の迅速化
(iv) 技術者ポテンシャルの効率的活用
(v) 許認可の効率化
 以上の観点から,系統設備の標準化,耐震設計の標準化を引き続いて実施した。


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