第2章 原子力研究開発利用の進展状況

6 核融合

 核融合動力炉実現へ向けての課題は,臨界プラズマ条件の達成であり,日本,米国,EC及びソ連にあっては鋭意本課題に取り組み,大規模な研究開発が進められている。
 日本原子力研究所においては,第2段階基本計画の主計画である,「臨界プラズマ試験装置(JT-60)」の製作が進められ,昭和54年度にJT-60実験棟及び電源棟の工事を開始し,昭和55年度には制御棟の工事に着手した。
 また,JFT-2においては加熱実験が行われ,円形断面におけるベータ値について世界的な成果を挙げている。

 電子技術総合研究所においては,「圧縮加熱型核融合実験装置(TPE-2)」の建設が進められた。
 大学関係では,名古屋大学プラズマ研究所における「JIPPT計画」,京都大学ヘリオトロン核融合研究センターにおける「ヘリオトロン計画」,大阪大学レーザー核融合研究センターにおける「レーザー核融合計画」,筑波大学プラズマ研究センターにおける「タンデムミラー計画」等においてプラズマ物理及び関連分野における幅広い研究が行われた。
 核融合研究開発は,長期的かつ極めて大規模なプロジェクトであり,人的及び物的資源の有効利用をはかることが肝要であるとともに研究開発面にあっても国際的な相互啓発をはかることが重要である。これらの視点より核融合研究開発に関する各種の国際協力が積極的に進められているが,特に昭和54年5月2日には米国との間で核融合研究協力を含む日米エネルギー等研究開発協力協定が締結され,米国のプラズマ試験装置ダブレットIIIによる共同研究,交流計画等の具体的協力が開始されたが,昭和55年度においても引き続き活発な協力活動が進められており,有意義な成果が挙げられつつある。


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