昭和54年版

原 子 力 白 書
     
昭和54年12月

原子力委員会
 

昭和54年原子力年報の公表に当たって

 ここに昭和54年原子力年報を公表いたします。
 昨年10月,それまでの原子力委員会の全面的改組の結果,新たに安全確保に係る事項を所掌する原子力安全委員会が設置され,原子力委員会も平和利用の担保と原子力政策の総合的,計画的推進を中心とするものに面目を一新してから早くも一年が経過しました。
 この間,我が国における原子力発電規模も21基約1,500万キロワットに達し,エネルギー供給面においてますます重要な位置を占めつつありますが,第二次石油危機ともいわれる今日,石油代替エネルギーの中心的役割を担うものとして原子力に対する期待が一層高まりをみせております。
 一方,こうした中で,本年3月,米国スリー・マイル・アイランド原子力発電所において事故が発生し,安全性の重要さを再確認したところであります。この事故の教訓も踏まえ,我が国においては,既設の原子力発電所の安全性について確認がなされたところでありますが,原子力委員会としては,今後とも安全性の確保を大前提としつつ原子力開発を積極的に進めて参る所存であります。
 本年報は,内容的には,昭和53年10月からの約1年間を対象としておりますが,統計的資料については昭和53年度についてとりまとめております。本年報が原子力研究開発利用の現況について広く国民各位のご理解を得ることに役立つことができれば幸いであります。

昭和54年12月

国務大臣  
原子力委員会委員長 長 田 裕 二
 

 
目   次

第I部 総     論
 
第1章 原子力をめぐる内外の諸情勢
 
1.エネルギー情勢と原子力
2.米国原子力発電所の事故と我が国の対応
3.核不拡散をめぐる国際的動向
 
第2章 原子力研究開発利用の進展
 
1.原子力発電
2.安全研究と軽水炉の改良・標準化等
3.核燃料サイクルの確立
4.新型動力炉の開発
5.核融合,原子力船及び多目的高温ガス炉の研究開発
6.放射線利用
7.原子力産業
 
第3章 1980年代への展望と今後の課題
 
1.原子力発電の見通し
2.研究開発成果の実用化
3.INFCE後の国際情勢への対応
4.より一層の国民の協力のもとで
 
第II部 原子力研究開発利用の動向
 
第1章 原子力発電
 
1.原子力発電の動向
2.原子力発電所の運転状況
3.軽水炉の改良・標準化
4.原子力発電所の立地推進
5.原子力発電所設置(変更)許可に係る訴訟等
(参考)諸外国の動向
 
第2章 安全の確保
 
1.米国スリー・マイル・アイランド原子力発電所事故と我が国の対応
2.原子炉施設の安全確保
3.核燃料施設等の安全確保
4.原子力施設の安全基準等の整備
5.従業員の被ばく線量管理の強化
6.原子力損害賠償制度の充実
 
第3章 安全の確保,安全の実証及び環境保全のための調査研究等
 
1.原子力の安全研究
2.原子力発電施設等の安全性実証試験
3.環境放射能調査
4.温排水に関する調査研究
 
第4章 核燃料サイクル
 
1.ウラン資源
2.ウラン濃縮
3.核燃料加工
4.再処理
5.核燃料物質の輸送
6.放射性廃棄物の処理処分対策
 
第5章 国際関係活動
 
1.国際関係活動の概要
2.各国との原子力協定の動き
3.核拡散防止に関する国際秩序形成のための国際的協議
4.研究開発に関する国際協力等
5.国際交流
 
第6章 保障措置及び核物質防護
 
1.我が国における保障措置
2.核兵器の不拡散に関する条約(NPT)に基づく保障措置
3.国際原子力機関による保障措置
4.保障措置技術に関する研究開発
5.核物質防護
 
第7章 新型動力炉の開発
 
1.高速増殖炉
2.新型転換炉
(参考)諸外国の動向
 
第8章 核融合,原子力船及び高温ガス炉の研究開発
 
1.核融合
2.原子力船
3.多目的高温ガス炉
 
第9章 放射線利用
 
1.放射線利用の動向
2.放射性同位元素等の取扱いに係る安全管理
 
第10章 基礎研究等
 
1.日本原子力研究所における基礎研究
2.放射線医学総合研究所における基礎研究
3.理化学研究所における基礎研究
4.国立試験研究機関等における原子力試験研究
5.研究用原子炉の利用状況
 
第11章 原子力産業
 
1.原子力機器産業
2.核燃料加工産業
 
第III部 資  料  編
 
1.原子力委員会,原子力安全委員会及び原子力関係行政組織
   (1)原子力委員会
   (2)原子力安全委員会
   (3)放射線審議会
   (4)原子力関係行政組織
2.原子力委員会の計画及び方針等
   (1)昭和54年度原子力開発利用基本計画
   (2)動力炉・核燃料開発事業団の動力炉開発業務に関する第2次基本計画
   (3)動力炉・核燃料開発事業団の核燃料開発業務に関する基本計画
   (4)原子炉開発の基本路線にのける中間炉について
   (5)CANDU炉導入問題について
   (6)新型動力炉開発懇談会報告書
   〔参考1〕原子力安全委員会の当面の施策について
   〔参考2〕原子力施設等安全研究及び環境放射能安全研究について(抜粋)
3.原子力関係予算
4.我が国原子発電所の時間稼動率及ひ設備利用率
5.放射線利用の状況
6.原子力知識の普及啓発
7.原子力発電所等に係る防災対策上当面とるべき措置について
8.昭和53年度原子力関係国際シンポジウム一覧
9.原子力研究開発利用年表