2.原子力委員会の計画及び方針

(10)発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針(骨子)

(昭和53年9月29日)
 原子力委員会

 本指針は,指針本文及び解説から構成されている。指針は,6章からなり,第1章目的,第2章測定対象核種,測定下限濃度及び計測頻度,第3章試料採取方法,第4章放射能計測方法,第5章放出放射能量の算出,第6章記録方法である。解説は,第1章指針作成の考え方に始まる9章及び付録核データ表から構成されている。
 原子力委員会は「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」(昭和50年5月13日)を定め,平常運転時における環境への放射性物質の放出に伴う周辺公衆の被曝線量を低く保つための努力目標として線量目標値を示している。原子力発電所においては,気体廃棄物及び液体廃棄物の放出に際しては,この指針に基づき線量目標値を満足するような放出管理目標値を定め,その値を超えないように放出管理を行うこととしている。本指針は上記の事情を踏まえ,平常運転時における発電用軽水型原子炉施設から放出される放射性物質の放射能量の測定に関し,主として放出管理目標値との関連で行う測定方法の斉一化をはかるため,標準的な方法を定めたものである。
 放出放射性物質の測定システムについては,測定対象核種の物理的,化学的性質,試料の処理,測定条件等によつて最小量の測定に限界が生じるが,ここでは測定技術の現状を考慮して目標とすべき測定下限濃度を定め,前述の線量目標値又は放出管理目標値を十分達成していることを確認するのに必要な機能を有することとしている。
 なお,本指針は核分裂生成物及び放射化生成物に起因する放射性物質を放出する発電用軽水型原子炉施設を対象として定めたものであるが,他の形態の原子炉施設においても,放射性核種の組成,放出量,放出方法等を勘案すれば本指針を参考にできるものと考える。
(なお,全文は,原子力委員会月報ⅤOL.23,No.9 1978に掲載されている。)


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