2.原子力委員会の計画及び方針

(4)原子力第1船開発基本計画

(昭和38年10月11日決定)
(昭和42年3月31日改訂)
(昭和46年7月2日改訂)
(昭和53年4月4日改訂)
 内閣総理大臣
 運  輸  大  臣

1基本方針
(1)原子力基木法の精神が充分生かされるよう努めるものとする。
(2)資金,人材の面において関係試験研究機関及び産業界の協力を求め,計画の円滑な推進を図るとともに広く我が国の原子力船に関する技術の向上を図るものとする。
(3)原子力第1船の設計と建造は,塔載する原子炉も含めて可能なかぎり国内技術によつて行うものとする。
(4)原子力第1船の安全性の確保については慎重に検討し万全を期するものとする。
(5)関係試験研究機関と密接な連携を保ち,研究開発を効率的に進めるものとする。

2事業の大網
(1)船種及び船型
 原子力第1船は,総屯数約8,000トン,主機出力約10,000馬力,航海速力約16ノットとし,特殊貨物の輸送及び乗組員の養成に利用できるものとする。
(2)搭載する原子炉の型式
 搭載する原子炉は加圧軽水冷却型とする。
(3)建造等
 原子力第1船は,遮蔽改修及び安全性総点検を行い,建造をできるだけ早期に完了するものとし,これに並行して陸上附帯施設の整備を行うものとする。
(4)乗組員の養成訓練
 原子力第1船の円滑な運航を期するため,日本原子力研究所等において乗組員の養成訓練を行うものとする。
(5)実験航海
 原子力第1船の建造完了後,実験航海を行うものとし,操船技術の習得等乗組員の原子力第1船に対する慣熟を図るとともに,原子力第1船の安全性及び性能を確認し,また,出入港の経験を得ることとする。さらに,信頼性確認,安全基準策定等のためのデータの蓄積を図るとともに,原子炉関連機器の開発,安全性の研究に資するための諸試験を行うものとする。
(6)開発成果の取りまとめ
 原子力第1船の開発の各段階において得られたデータについて逐次解析評価を行うとともに,その総合的取りまとめを行うものとする。
(7)実験航海終了後の措置
 実験航海終了後,原子力第1船の内部総点検,機器補修等所要の整備を行うものとする。
 また,実験航海終了後における原子力第1船の運航主体,陸上附帯施設等の利用については,慎重に検討のうえ,別途具体的に措置するものとする。


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