第Ⅱ部 原子力開発利用の動向
第8章 原子力船の研究開発

(参考)諸外国の動向

 現時点における諸外国の原子力商船の開発状況は,以下のとおりである。

(1)ソ連
 ソ連は,原子力砕氷船レーニン号を昭和34年に完成した。レーニン号は北極海を航海し,多くの船舶を誘導してきたが,その後,原子炉の改造を行い,昭和45年から再び航海に入つている。これに次いで原子力砕氷船アルクチカ号が,昭和49年に完成し,昭和52年8月17日,北極点到達を成し遂げた。更に,原子力砕水船シビリー号も昭和52年末完成し,昭和53年から北極海において就航していると伝えられている。

(2)米国
 米国は,原子力貨物船サバンナ号を昭和37年に完成した。サ7<ンナ号は,8年間に約50万海里にわたる試験航海,商業航海に就航し,この間米国国内32港に入港したのみでなく,海外の26ケ国45港を訪問した。
 その後,サバンナ号はその目的を果たしたとして,昭和45年,核燃料を取り出した後係船されている。

(3)西ドイツ
 西ドイツは,原子力鉱石運搬船オット・ハーン号を昭和43年に完成した。
 オット・ハーン号は,昭和45年から商業航海を開始し,また,昭和47年には第二次改良炉心を装荷している。オット・ハーン号は,昭和53年3月までに約60万海里を航海し,22カ国33港を訪問した。

(4)その他
 イギリス及びフランスは原子力艦船の建造を優先させていたが,最近原子力商船の建造についても積極的に検討を始めており,又,カナダでは,沿岸警備隊が原子力砕氷船の建造を計画しており,現在設計がすすめられていると伝えられている。


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