第Ⅱ部 原子力開発利用の動向
第3章 安全の確保

5 従業員線量管理の強化

 原子炉施設等の従事者の線量管理は,原子炉等規制法,障害防止法及び労働安全衛生法に基づいて従事者の受ける線量が許容線量を超えないよう原子炉施設設置者等の責任において実施されている。
 近年の原子力発電設備の増加及び稼動年数の増大に伴い,定期検査,補修等に従事する作業者の受ける全体の線量は,年々急激に増加しており,かつ,これらの作業者には施設を渡り歩く下請けの従業員が多いことから適切な線量管理事業が要請されている。
 このため,国としても積極的に本問題に取り組むこととし,線量の一元的登録管理機関である「放射線従事者中央登録センター」を昭和52年度に民間において発足せしめ,所要の補助等を行つた。昭和53年度は,52年度に引続き,過去に原子力事業所で作業に従事した者及び現在従事している者について登録番号を付与し,受けた線量について法令に基づく記録の引渡しを受けるとともに,これらをコンピュー夕に登録し,一元的な従事者の受けた放射線量の管理を行うこととしている。

 また,従事者に係る放射線管理記録の管理と表裏一体のものとして,放射線管理手帳を所得させ,これによつて現場での管理の円滑化に資することも重要である。従来放射線管理手帳の活用はまちまちであつたが,統一的な手帳制度を確立すべく検討を進めた。


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