第Ⅱ部 原子力開発利用の動向
第1章 原子力発電

4 原子力発電所の立地推進

(1)電源立地推進対策の強化
 総合エネルギー対策推進閣僚会議は,昭和52年3月以来,随時開催され,関係方面と密接な連携をとりつつ,総合エネルギー対策の推進に関する重要問題について意見調整を行つている。
 特に,昭和53年1月の第4回同会議においては,電源立地の推進の強化・拡充をより一層図るため,以下の施策が了解された。

①要対策重要電源の推進
 第2回総合エネルギー対策推進閣僚会議に報告した「15電源」の推進を引き続いて行うとともに,新たに7電源を要対策重要電源に追加し,その推進を図る。

②電源三法の活用
 電源立地促進の緊急措置として,「電源立地促進対策交付金の特別助成措置」(53年度に着工する電源等については,交付金の単価が現行基準単価の100%増となるよう上乗せする。)を講ずる等電源三法の活用により電源立地に際しての地元福祉のなお一層の向上を図る。

③電源立地推進体制の整備等
 要対策重要電源等の推進を図るため,通商産業省における電源立地椎進体制を拡充するとともに,関係省庁間の協力体制のなお一層の拡充を図り,電源開発調整審議会の活用を含めた電源立地に必要な関係許認可の運用等の一層の円滑化,迅速化に努める。

(2)電源三法の運用
 電源三法(発電用施設周辺地域整備法,電源開発促進税法,電源開発促進対策特別会計法)は,発電用施設の設置の円滑化に資することを目的として,昭和49年度に制定された。
 昭和53年9月末までに,発電用施設周辺地域整備法に基づく地点指定は12回行つており,118地点が指定された。
 また,同法に基づく整備計画の承認は,53年9月末まで10回行つており,上記118地点のうちの102地点について,97計画,交付金総額716億円相当分が承認されている。これに基づき,発電用施設の周辺の地域における公共用施設の整備のための費用として,電源立地促進対策交付金が関係地方公共団体に交付されることとなつている。
 また,原子力発電施設等が設置され又は設置が予定されている地域における環境監視施設の設置等の費用に充てるため,放射線監視交付金,温排水影響調査交付金,広報対策交付金等が関係都道府県に対して交付されている。
 このほかに,原子力発電施設等の安全性に関する地元住民の不安を解消し立地の円滑化に資するため,実規模又は実物に近い形で原子力発電施設等の安全性実証試験を実施している。

(3)安全審査関係資料の公開
 原子力関係の資料を公開することは,原子力に関する国民の理解の向上にとつて重要であり,昭和48年5月科学技術庁原子力局に公開資料室が設置された。
 現在,公開資料室では原子炉設置許可申請書,同添付書類,安全審査報告書のほか原子炉安全専門審査会の各部会における参考資料等をも公開している。これらの資料は,国立国会図書館のほか,原子力施設が設置される都道府県(担当部局及び図書館)にも配置され,公開されている。公開資料室は資料の公開という観点から,より一層の利用が期待される。


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