第Ⅰ部 総論
第2章 原子力研究開発利用の進展と新長期計画

3 安全研究と軽水炉の改良・標準化

 〔安全研究〕
 軽水炉の工学的安全研究については,日本原子力研究所を中心として,安全審査の基準、指針等の定量化及び精密化に資するため,反応度事故,冷却材喪失事故(LOCA),燃料安全及び原子炉の安全構造に関する研究が進められ,また,LOCA時の緊急炉心冷却装置の効果の実証(大型再冠水効果実証試験)のため,実物に近い大型モデルの建設が行われた。また、原子炉安全研究の国際協力については,従来からの日米間及び日独間における協力が順調に進展したが、更に,大型再冠水効果実証試験に関する協力の開始について,日本,米国及び西独間で協議が行われている。

 環境放射能安全研究については,放射線医学総合研究所を主体として行われているが,同研究所においては,低線量放射線の晩発障害,遺伝障害及び内部被曝による障害に関する研究が重点的に進められた。

 〔軽水炉の改良・標準化〕
 軽水炉技術については,初期には,原子炉機器の国産化率は,50%程度であつたが,最近の新しい原子力発電所では,95%以上にも達しているものもあり,軽水炉技術の消化習得と国産化は,現在ほぼ達成されつつある。一方,今日,軽水炉の安全は,十分に確保されているが,信頼性向上,保守点検作業性の向上等の面からは,なお,改良の余地があり,この観点から,通商産業省においては,昭和50年度から改良・標準化計画が実施されてきた。
 昭和52年度には,第1次標準プラントの基木仕様をとりまとめ,第1次の改良・標準化計画を終え,現在は,昭和55年度終了を目途として一層の信頼性向上,検査の効率化等を目的とした第2次改良標準化計画が進められている。


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