第9章 基礎研究等

(2)放射線医学総合研究所における基礎研究

 放射線医学総合研究所は,我が国の放射線医学に関する総合的研究機関として,低レベル放射線の人体への影響,環境放射線による被ばく線量の推定,サイクロトロンの医学利用に関する調査研究を特別研究として推進している。
 一方,経常研究はすべての研究活動の源泉であり,基礎をなすものであることに留意し,常に高度の学問的水準を維持し得るよう,その充実と幅広い分野にわたる調査研究を行ってきた。
 基礎医学生物部門は,放射線による晩発性の身体的,遺伝的影響及び被ばくの特異性から見た内部被ばくによる障害評価に関する調査研究を実施した。
 環境部門は,原子力施設から環境に排出される放射性物質等に関し,排出されてから人体に至るまでの環境中における一連の挙動を総合的に把握し,個人及び集団の被ばく線量の推定に関する調査研究を実施した。
 臨床医学部門は,医用サイクロトロンを利用し総合的な研究体制のもとに疾病の診断及び治療の研究を推進してきた。昭和51年度は速中性子線によるがん治療研究を引続き推進するとともに陽子線の医学利用に関する研究を実施した。


目次へ          第9章 第3節へ