第9章 基礎研究等

(1)日本原子力研究所等における基礎研究

 我が国原子力研究の中心機関である日本原子力研究所は,核融合,多目的高温ガス炉等各種プロジェクトの研究開発を強力に推進する一方,関連機関との有機的連携のもとに,基礎的研究基盤の拡充強化を図ってきた。
 まず,物理,化学の分野では,20MeVタンデム・バンデグラフ加速器の建屋を昭和51年12月に着工したほか,荷電粒子を用いた物性の研究,放射線照射による化学反応の研究等を進めた。
 炉工学の分野では,半均質臨界実験装置(SHE)による高温黒鉛集合体の研究,高温用中性子検出器の開発試験,ハイブリッド計算機による制御システムの研究等を実施するとともに,軽水臨界実験装置(TCA)によるプルトニウムの熱中性子利用に関する炉物理実験等を行った。
 研究炉施設については,JRR-2は試験運転ののち引続き順調なサイクル運転を行っている。JRR-3は燃料体故障に対処したのち,昭和51年12月から試験運転を行い,サイクル運転を再開した。JRR-4は,予定どおり順調な運転を行って原子力船「むつ」の遮へい改修のためのモックアップ実験を行い,その解析を進めた。材料試験炉(JMTR)についても4サイクルの運転を行い,燃料・材料照射試験を行った。
 動力試験炉(JPDR)は,配管クラック等の原因調査と補修のため昭和51年度は運転されなかった。
 燃料工学の分野に関しては,レーザー法による同位体分離について原子励起実験装置を完成させ,機能試験を行った。乾式再処理に関する研究では,高速炉燃料,高温ガス炉燃料の再処理について基礎研究を継続実施した。
 保健物理の分野では,環境ガンマ線施設寄与分の分離評価のための自動分離計算コードを完成し,またガンマ線スカイシャインによる被ばく線量評価コードの開発等を行った。
 その他,原子炉燃料及び材料の研究,原子炉計測・制御に関する研究,原子力コード及び核データの整備等関連する基礎的な研究を継続実施した。


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