第7章 原子力船の研究開発
1 原子力第1船「むつ」の開発

(3)新定係港及び修理港

 政府は,「むつ」放射線漏れの際,青森県,むつ市及び青森県漁連との間で締結した合意協定書に基づき,「むつ」の新定係港を決定すべく,科学技術庁及び運輸省からなる新定係港推進本部を設け,その選定作業を進めてきたが,「むつ」について修理,点検を行い,その安全性を確認することが先決であるとの判断から,とりあえず,「むつ」の修理,点検を行う修理港を決定し,その後新定係港を選定することとしている。
 修理港については,51年2月10日,内閣総理大臣から長崎県知事及び佐世保市長に対し,佐世保港を修理港として受け入れることについて,協力を依頼するとともに,政府及び日本原子力船開発事業団は,直接地元住民を対象とする説明会の開催等により地元の理解と協力が得られるよう努力してきた。
 この結果,佐世保市においては昭和52年4月1日,政府要請どおり,「むつ」受入れ受諾を同市議会が議決し,一方,長崎県においては,昭和52年4月30日,「核燃料体を取り外して入港すること」を条件に受入れを県議会が議決した。
 政府は,長崎県議会の議決後,「むつ」総点検・改修技術検討委員会において,核燃料体の取出しの安全性等について技術的検討を行い,昭和52年7月,十分安全に実施し得るとの結論を得るとともに,核燃料体を装荷したままでの修理は可能であり安全性は十分に確保し得るとの確認もあわせて行った。


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