第6章 新型炉と核融合の研究開発
(参考)諸外国の動向

(3)高温ガス炉

 米国では,発電用高温ガス炉の開発がゼネラル・アトミックス(GA)社を中心として行われてきた。最初に建設されたピーチボトム炉は昭和42年5月以後おおむね順調な運転を続け,高温運転の実証,発電炉としての諸特性の確認等について所期の目的を果たし,昭和49年10月に運転を終了した。次いで世界最初の実用規模の発電炉として,フォート・セント・ブレイン炉が昭和43年着工され,工事が種々の理由により遅れたが,昭和49年1月臨界になった。その後昭和51年12月には85メガワットの発電を行うまでに至り,順調にいけば昭和52年中には定格出力運転に入れるものと予想される。

 一方,米国エネルギー研究開発庁は非電力(多目的)利用高温ガス炉システムの開発を,Advanced HTRプログラムとして昭和49年に開始し,米国における開発戦略を決めることを主目的として,Advanced HTRの概念設計研究及び工学設計研究を行ってきた。
 西ドイツでは,ユーリッヒ研究所を中心に高温ガス炉のプロセス熱への利用を目的とする研究開発が着実に進行している。最初の実験炉AVRは,昭和42年出力運転に入ったが,その後炉心出口温度の上昇を図り,昭和49年2月には950°Cを達成し現在に至っている。これらの経験をもとに電気出力300メガワットのTHTR-300が昭和47年着工され,現在建設中である。当初は昭和52年運転開始の予定であったが,安全性の要求により設計変更が行われ,運転開始予定は昭和55年以降に延期された。
 またAVRの運転により高温ガス炉のプロセス利用に自信を得た西ドイツは,一方でPNP(原子力プロセスヒート型プラント)プロジェクトを昭和50年から開始させた。まず原子力による褐炭,石油ガス化の市場性及び経済性についての見通しを得て昭和52年に原型プラントの概念設計を完成させる予定で,作業が進められている。
 フランスでは,原子力庁(CEA)が米国ゼネラル・アトミックス社と昭和47年にライセンス協定を結び高温ガス炉の共同開発計画を実施してきた。この分野ではサクレー研究所が中心となって研究開発が進められている。
 その他,スイスがヘリウムガスタービンの開発で米国と協力しており,オーストリアはプロセス利用に関心を示している。


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