第6章 新型炉と核融合の研究開発

3 高温ガス炉

 多目的高温ガス炉の研究開発は,日本原子力研究所で開始され,基礎的な研究を積み重ねてきた結果,昭和51年度には概念設計が行われ,昭和50年代末の運転を目途とする実験炉の建設計画が作成されるまでになった。
 一方,通商産業省工業技術院においては,昭和48年度から多目的高温ガス炉との結合を目指して,高温ガス利用による直接製鉄技術の研究開発が「大型プロジェクト」として開始されるなど多目的高温ガス炉の研究開発に対する要請は強まっている。
 このような気運にかんがみ,原子力委員会では新型動力炉開発専門部会において,日本原子力研究所で進めている実験炉建設計画についてチェックアンドレビューを行い,その結果,昭和50年代末までに多目的高温ガス実験炉を運転させるべく研究開発を進めるとの結論を得た。
 これを踏まえ,日本原子力研究所では,昭和51年度に材料試験炉(JMTR)に接続した高温ガスループ(OGL-1)の運転,炉心耐震試験,高温二重配管試験,高温耐熱材料,被覆粒子燃料,黒鉛材料,伝熱流動等に関する研究を進めるとともに,大型構造機器実証試験ループの設計を行っている。

 国内におけるこれらの研究開発活動のほか,昭和50年10月には国際エネルギー機関(IEA)において西ドイツより研究協力テーマとして多目的高温ガス炉が提案され,協力についての検討が行われている。更に日本・西ドイツ間の科学技術協力協定に基づく協力テーマとしても高温ガス炉分野が取り上げられ,昭和52年4月には,高温ガス炉パネルが設置され,両国間で積極的に研究協力が進められることとなった。
 また,日米等の2国間の間においても安全研究の分野で情報交換,専門家会合が行われるなど,国際協力についての動きが活発になった。


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