第6章 新型炉と核融合の研究開発

2 高速増殖炉

 高速増殖炉は,発電に消費する以上に核分裂性物質(プルトニウム)を生産するという点で,核燃料の有効利用における意義は極めて高く,フランスをはじめとする先進諸国がその開発を鋭意進めている。
 我が国における高速増殖炉の開発は,新型転換炉と同様に,動力炉・核燃料開発事業団が,内閣総理大臣の定めた「動力炉開発業務に関する基本方針」及び「同基本計画」に従って実施しており,現在,実験炉が臨界に達し,発電炉として基本的な機能を実証することを目的とする原型炉の建設準備を進める段階となっている。
 なお,前述の新型動力炉開発専門部会においては,高速増殖炉の開発に関し検討を行い,原型炉の建設計画は,実験炉の建設,運転,研究開発の成果,海外における技術開発の動向に照らし,妥当であるとしている。また,「高速増殖炉の実用化を円滑に進めるためには,昭和60年代半ばまでに,実用炉の経済的見通しの確立と技術的諸性能の実証を目的とする実証炉の建設が必要である。」としており,「動力炉・核燃料開発事業団は,関連研究開発を進める。」との方針が示されている。


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