第4章 保障措置及び核物質防護
3 核不拡散条約(NPT)に基づく保障措置

(3)核不拡散条約批准に対応しての我が国の体制

 我が国は,署名以来未批准のままになっていた核不拡散条約について,昭和50年4月,その批准案件を第75回国会に提出した。本案件は,同国会及び第76回国会において,審議未了,継続審議となり,その後,昭和51年5月,第77回国会において承認され,同年6月に批准を行った。
 核不拡散条約保障措置協定については,昭和47年6月以降,国際原子力機関との間で,数次にわたり,予備的な交渉を重ねてきた結果,昭和50年2月,我が国の自主性を確保した内容(例えば,同機関は,。原則として,直接検認活動を行わず,我が国の検認活動の一部を観察するという方法での検認活動の目的を達成する方式を採用させたこと。)をもって実質的に合意に達した。
 その後,同協定については,昭和51年6月,同機関との間で正式交渉に入ったが,予備交渉の合意の内容につき確認が得られたので,昭和52年3月,ウィーンで正式署名を行った。
 核不拡散条約上は,保障措置協定の正式交渉後18カ月以内に同協定を発効させるものとする旨規定されており,このため,政府は,昭和52年3月,保障措置協定承認案件を第80回国会に提出した。同案件は,同国会で,審議未了,継続審議となり,続く第81回国会でも審議未了,継続審議となったが,昭和52年11月,第82回国会において承認された。
 一方,この保障措置協定の発効に伴う核不拡散条約に基づく保障措置体制への移行に備え,国内制度につき,保障措置課の新設(昭和52年4月,原子力安全局に設置)及び査察官の増員,核物質の計量管理のための技術開発等を進め,その整備を図るとともに,昭和52年4月第80回国会に,原子炉等規制法の一部改正法案を提出した。同法案は,同国会で審議未了,継続審議となり,続く第81回国会でも審議未了,継続審議となったが,昭和52年11月,第82回国会において成立した。
 これにより,我が国は,核不拡散条約保障措置協定に基づく,同協定の発行手続きを取ることにより,核不拡散条約保障措置体制に移行することとなった。


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