第3章 国際関係活動
4 研究開発に関する国際協力等

(3)国際機関との研究開発協力

 我が国は,国際原子力機関,経済協力開発機構,原子力機関,経済協力開発機構,国際エネルギー機関等の主要メンバー国として国際協力を活発に進めている。

① 国際原子力機関
 独自の憲章を持ちつつ国際連合と密接な協力関係にある国際原子力機関は,昭和51年9月ブラジルで第20回総会を開催し,事務総長エクランドはそのステートメントの中で昭和32年,創立以来20年を振り返りその活動の発展を述べつつ,「全世界の平和,健康及び繁栄に対する原子力の貢献並びに原子力を軍事目的に利用しないという国際原子力機関憲章第2条の同機関の目的はなお不変である。」とその使命をあらためて確認した。事務総長は,また保障措置に関連して,我が国の昭和51年6月の核拡散防止条約の批准を高く評価した。なお,加盟国は新たにニカラグアを加えて110カ国となっている。
 開発途上国を対象とする原子力発電訓練コースは,計画に従って順調に開催され,昭和51年9月8日から11月17日まで,米国のアルゴンヌ国立研究所で行われた。訓練コースには,我が国から講師を派遣する等これに対し積極的に協力した。
 地域核燃料サイクルセンター(RFCC)プロジェクトについてはその主要な検討は本年度末までにほぼ終了したが,検討分野ごとに行われた諮問会合のうち,法律上・機構上の諸元に関する会合(昭和51年4月及び6月),使用済燃料の貯蔵に関する会合(昭和51年10月),保健・安全及び環境への影響についての会合(昭和51年11月),フィジカルプロテクションに関する会合(昭和51年11月),組織及び運営に関する会合(昭和52年11月)並びに保障措置及び核不拡散に関する会合(昭和52年12月)には,それぞれ我が国から専門家を派遣し作業の進捗に貢献した。
 本章第3節(4)で前述した昭和52年5月開催の,原子力発電と核燃料サイクルに関する国際会議のための開催準備は,51年度一年間を通じて具体的に着実に進められた。このほか,国際原子力機関が「放射性物質安全輸送規則」をはじめ各種の安全基準の作成整備のため随時開催する諮問グループ会合,専門家会議には我が国から専門家を派遣し,積極的に貢献している。
 昭和52年2月には,「燃料,被覆管相互作用専門家会議」が,3月には,「ウラン濃縮施設の保障措置に関する諮問グループ会合」がそれぞれ東京で開催された。
 定常的活動としては,「原子力発電所の国際安全基準作成専門家会合」等への専門家派遣,国際協力事業団経由による日本原子力研究所での研修生受入れ等が行われた。
 なお,昭和52年9月23日の理事会において,東京工業大学の垣花秀武教授が研究・アイソトープ局担当の事務局次長として承認された。我が国が国際原子力機関において事務局次長という高位の指定職ポストを確保したのは,これが初めてであり,これは,我が国における原子力開発水準の向上の国際的認識を端的に表わすものとして,また,従来から問題とされていた国際機関における我が国の一般的アンダーリプレゼンテーション(分担金と比べ少ない代表数)の改善につながるものとして歓迎される。

② 経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)
 昭和52年10月開催の第53回同機関運営委員会において,従来準加盟国であった米国が同年10月1日から同機関に正式加盟し,この結果加盟国は23カ国となった。
 本年度は,同機関にとって事業計画の大幅な改革を行った1年目であり,その基本方針の発展を目的として,四大重要分野である原子力安全性,放射性廃棄物管理,原子力の経済的・技術的役割,公衆による理解,の活動が重点的に進められた。
 また,昭和52年7月22日理事会において「原子力機関放射性廃棄物の海洋投棄に関する協議・監視機構」の設立が決定された。我が国は,所用の国内法令の整備が整うまで本機構に参加することを見合わせた。
 なお,昭和52年5月1日,前事務局次長I.ウイリアムズが,E.ゼーランドの退任に伴って事務局長に昇格した。また同年9月1日には,米国からH.ハナムが事務局次長に就任した。

③ 経済協力開発機構国際エネルギー機関(OECD-IEA)
 国際エネルギー機関は代替エネルギーの確保,エネルギー節約,新エネルギーの開発等を目的として昭和49年11月に設立された。
 エネルギーの研究開発の重要性にかんがみ,エネルギー研究開発委員会を設置し,エネルギーの研究開発での協力を積極的に進めているが,その一環として,昭和51年6月には,核融合に係る強力中性子源及び原子炉の安全性に関する2実施協定に日本原子力研究所が参加した。また加盟国が共同で実施したエネルギー研究開発戦略システム分析に係る米国のブルックヘブン研究所の作業グループには,我が国からも研究者が常時1名派遣され,作業に参加している。


目次へ          第3章 第5節(1)へ