第2章 核燃料サイクル
7 放射性廃棄物の処理処分

(2)放射性廃棄物処理処分対策

 放射性廃棄物処理処分対策については,原子力委員会においても,昭和50年7月,放射性廃棄物対策技術専門部会を設置し,試験的海洋処分の安全評価及び放射性廃棄物処理処分に関する研究開発計画等について審議を行ってきており,昭和51年6月に同部会において「放射性廃棄物対策に関する研究開発計画」(中間報告)が取りまとめられた。
 更に,昭和51年10月,放射性廃棄物対策に関する基本的方針を決定した。
 その概要は以下のとおりである。
① 原子力施設において発生する放射能レベルの低い固体廃棄物については,当面,原子力事業者の施設内での保管で十分対応できるが,今後の発生量増大に対処するため,最終的な処分方法として,海洋処分及び陸地処分を組み合わせて実施することとする。
② このため海洋処分については,事前に安全性を十分評価した上,昭和53年頃から試験的海洋処分に着手し,その結果を踏まえ,本格的処分を実施することとする。
 また,陸地処分については,昭和50年代中頃から地中処分の実証試験を開始し,その成果を踏まえ,本格的処分に移行することとする。これを進める体制としては,(財)原子力環境整備センターを中心に官民協力していくこととする。
③ 使用済燃料の再処理施設等で発生する放射能レベルの高い廃棄物については,ホット試験後,当分の間は,慎重な配慮のもとに施設内で保管させておくこととする。
④ 高レベル廃棄物の処理については,再処理業者が行い,処分は国が責任を負うこととし,必要な経費については,発生者負担の原則によるものとする。
 また,研究開発の目標としては,固化処理及び貯蔵については,今後10年程度で実証試験を行い,処分については,地層処分を中心に昭和60年代から実証試験を行うこととする。
 これを進める体制としては,動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所が中心となる。
 一方,原子力安全局においては,昭和50年度より検討を続けてきた「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」を昭和51年9月に取りまとめたが,本報告書は現在,原子力委員会の前記部会において審議が進められている。


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