第6章 原子力船の研究開発
(参考)諸外国の動向

 昭和50年5月,ニューヨークにおいて米国原子力産業会議主催の原子力商船に関する国際会議が開催された。その結果,原子力商船の将来性の見通しについては,原子力商船の第一陣の建造が決定されるのは,昭和51〜52年頃で,これらが就航するのは昭和56〜57年頃と予想されている。さらに原子力商船が本格的に海運界において活躍するのは,昭和60年代前半と見込まれている。
 現時点における諸外国の原子力商船の開発状況は,以下のとおりである。

(1)ソ連

 ソ連は,原子力砕氷船レーニン号を昭和34年に完成した。レーニン号は北極海を航海し,多くの船舶を誘導してきたが,その後,原子炉の改造を行い,昭和45年から再び航海に入っているが,さらにこれに次いで原子力砕氷船アルクチカ号が,昭和49年に完成した。

(2)米国

 米国は,原子力貨客船サバンナ号を昭和37年に完成した。サバンナ号は,8年間に約45万海里にわたる試験航海,商業航海に就航し,この間米国国内32港に入港したのみでなく,海外の24ケ国46港を訪問した。
 その後,サバンナ号はその目的を果たしたとして,昭和45年,核燃料を取り出した後ガルベストンに係船されている。

(3)西ドイツ

 西ドイツは,原子力鉱石運搬船オットー・ハーン号を昭和43年に完成した。
 オットー・ハーン号は,完成後6年半の間に約42万海里を航海し,17カ国29港を訪問している。


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