第3章 保障措置
2 国際原子力機関による保障措置

(1)国際原子力機関(IAEA)による保障措置の概要

 IAEAは,各国との間において次のような種類の協定を締結し,保障措置を実施している(昭和50年12月末現在)。
① 計画協定(各国が行う事業に対してIAEAが核燃料物質等の供給を行い,その核燃料物質等に対して保障措置を実施する協定)
 日本(JRR-3),アルゼンチン,チリ,インドネシア,スペイン等18カ国,24協定(ただしフィンランド,ギリシャ,ルーマニア等8カ国についてはNPT保障措置協定発効のため計画協定は停止)
② 保障措置移管協定(二国間原子力協力協定に基づく保障措置をIAEAに移管するための協定)
 日米,日英,日加,日仏,日豪,オーストリア・米国,カナダ・インド,米国・インド間等27協定
③ 自発的な保障措置協定(自ら自国内にある施設に対する保障措置の実施を要請したもの)
 英国(一部核物質),アルゼンチン等8カ国
④ NPTに基づく保障措置協定
 カナダ,デンマーク等43カ国

(2)我が国における保障措置

 我が国は,米国,英国,カナダ,オーストラリア及びフランスの5カ国との間に,それぞれ二国間原子力協力協定を締結しているが,これらの協定に基づき,移転された核燃料物質,施設設備及びこれらを使用して生産された特殊核分裂性物質の利用は,軍事目的に転用しないこと,その履行を確認するための保障措置を受入れること並びにその保障措置の実施をIAEAに移管することを約束している。
 これに従い,我が国は協力協定当事国それぞれとIAEAとの間で,三者間の保障措置移管協定を締結し,IAEAの保障措置を受けている。
 また,我が国が独力で設計,建設した日本原子力研究所の研究用原子炉第3号(JRR-3)については,我が国とIAEAとの間の計画協定に基づき,保障措置を受け入れている。
 保障措置の主な内容は,
① 原子炉,加工施設等の設計資料の提出
② 核物質の計量管理に関する記録の保持及び報告書の提出
③ 査察の受入れ
 である。
 IAEAによる保障措置対象施設数と査察実績は次表のとおりである。


目次へ          第3章 第3節へ