第7章 放射線利用

 我が国における放射性同位元素(ラジオアイソトープ)及び放射線発生装置の利用は原子力利用の中でも早くから着手され,活発な放射線利用技術開発の進展に伴って,急速な発展を遂げた。
 今日では放射線利用は基礎科学の分野から工学,農学,医学等の応用分野まで広汎な分野において重要な地位を占めるに至り,放射性同位元素や各種放射線発生装置を利用する事業所は,医療,農業,工業等の各分野において逐年増加しており,昭和50年3月末日現在では3,225事業所にのぼっている。
 このような放射線利用における実用化の進展とともに各分野での研究開発も積極的に推進されており,そのため放射性同位元素の需要も毎年増加してきている。これら放射性同位元素の供給については,外国からの輸入のほか日本原子力研究所を中心として,需要の多い核種に重点を置いて国産化を進めており,とくに海外に依存することの困難な短寿命核種については積極的に製造の研究開発を進めている。
 使用済燃料から回収される放射性同位元素の利用に関する研究については,日本原子力研究所で,90Sr,137Cs,147Pm等の核種を各種線源として使用するための加工技術の研究が進められている。


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