近年の世界海運界において,拡大する貿易量に対処するため,船舶の大型化,高速化を図る傾向が著しいが,在来船では,消費燃料の増大など経済的な面で問題が生じてきており,また,石油の国際的な需給問題からも原子力船の実用化に対する期待は大きい。
　原子力船の実用化のためには,在来船と経済的に十分競合でき,かつ,安全性,信頼性が十分である原子力船の技術開発に努めることはもとより,陸上サービス施設の整備,出入港及び航行の自由のための制度確立等の諸問題を解決しなければならない。
　海運国の我が国としても,将来に予想される原子力船時代に備えて,原子力船の開発を着実に進めていくことが必要である。

---

目次へ

第６章　第１節へ