1 原子力発電所の現況

 昭和50年7月1日現在,我が国で稼動中の商業用発電炉は8基,総電気出力389万3千kWである。昭和48,49年度には,中国電力(株)の島根原子力発電所,東京電力(株)の福島第一原子力発電所2号炉,関西電力(株)の高浜発電所1号炉の3基が新たに営業運転を開始した。

(1)運転状況

 昭和48年度には日本原子力発電(株)の東海,敦賀発電所は,ともに順調に運転されたが,とくに敦賀原子力発電所は,夏期ピーク時に,58日間,全出力連続運転を行い,昭和48年度発電量は過去最高を記録した。
 東京電力(株)の福島第一原子力発電所1号炉は,放射性廃液漏洩対策改良工事(昭和48年6月25日〜8月19日)により定検期間が4ヵ月程度になり,利用率が低くなった。
 関西電力(株)の美浜発電所1号炉は,昭和48年3月〜8月及び昭和49年2月〜5月の間定期検査のため原子炉を停止した。この間蒸気発生器の細管調査及び燃料集合体の検査を行った。美浜発電所2号炉は昭和48年9月〜昭和49年2月の間,定期検査を行い,1号炉と同様に,蒸気発生器の細管調査,燃料集合体の検査を行った。

 昭和49年度には,日本原子力発電(株)の敦賀発電所は定期検査,再循環系バイパス配管の検査,ECCS系コアスプレー配管検査・修理のため利用率が低下した。
 東京電力(株)の福島第一原子力発電所1号炉は,制御棒駆動水圧ポンプの修理,再循環系バイパス配管の検査,修理,ECCS系コアスプレー配管の検査のため利用率が低下した。2号炉は昭和49年7月18日に運転開始したが,再循環系バイパス配管,ECCS系コアスプレー配管及びメカニカルシールの取替え等のため低い利用率となっている。
 関西電力(株)の美浜発電所1号炉は昭和49年7月17日より蒸気発生器細管漏洩のため停止している。2号炉も昭和50年1月8日より同じ理由により停止している。高浜発電所1号炉は昭和49年11月14日に運転開始し,昭和49年度発電所一覧中はタービン軸受油圧減による停止(昭和50年1月22日〜2月11日)を除いて順調に運転された。
 中国電力(株)の島根原子力発電所は,定期検査中に,再循環系バイパス配管,ECCS系コアスプレー配管の検査を行ったが異常はなく,順調に運転された。

(2)建設状況

建設中のものは15基,総電気出力1,268万3千kWであり,このうち中部電力(株)の浜岡原子力発電所1号炉,東京電力(株)の福島第一原子力発電所3号炉,関西電力(株)の高浜発電所2号炉,九州電力(株)の玄海発電所1号炉はすでに臨界に達し,現在試運転中である。
 昭和50年3月の電源開発調整審議会において,東京電力(株)の福島第二原子力発電所の2号炉,四国電力(株)の伊方発電所の2号炉の開発計画が決定されたことにより,計画中の原子炉は4基,総電気出力332万5千kWとなった。
 運転中,建設中,電調審決定の原子炉の総計は27基,1,990万1千kWである。
 現在,運転中,建設中及び電調審決定のものを対象として各年度末の設備容量を見込むと次表のとおりである。


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