1 放射性廃棄物の処理処分
(1)放射性廃棄物処理処分の現状

 我が国では,「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」(放射線障害防止法)によって放射性同位素等取扱事業所を,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)によって核燃料の加工,使用済燃料の再処理等の事業所及び原子炉をそれぞれ対象としてそれらの施設で発生する放射性廃棄物に対する規制を実施している。

イ 放射性同位元素等取扱事業所

 放射性同位元素等取扱事業所で発生する液体状及び固体状の放射性廃棄物のうち,各事業所で処理処分することが困難なものについては,一時,各事業所の保管設備に保管された後,日本アイソトープ協会に引き渡されている。
 同協会では,容器に密封されたこれらの廃棄物を専用のトラックで全国4ヵ所(関東,関西,九州,東北)の貯蔵所に集荷し,種類別に分類保管したうえ最終的には,日本原子力研究所東海研究所に引き渡している。ここでは,これらの廃棄物について処理を施し,半地下構造式のコンクリートピットに保管廃棄している。

ロ 原子力発電所等の原子力施設

 原子力発電所等の原子力施設で発生する放射性廃棄物は,その種類及び発生量並びにその管理方式が炉型によってそれぞれ異なるが,放射性物質を吸着した使用済イオン交換樹脂など比較的放射能レベルの高い廃棄物は脱水後一時的に貯蔵タンクに貯留される。
 また,イオン交換樹脂の再生廃液を蒸発濃縮したもの,フイルタスラッジ及び雑固体等放射能レベルの低い廃棄物は,ドラム罐にセメント固化され,施設内に安全に保管されている。
 このほか,極低レベルの液体状及び気体状の廃棄物は,法令に定められた基準値を十分下回るよう適切な処理をほどこしたのち,環境に放出される。


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