II 原子力委員会の計画および方針

4 原子力開発利用長期計画の決定に際しての原子力委員会委員長談話

(47.6.1)

 原子力委員会は,さきに長期計画専門部会から提出された報告書について検討した結果,その趣旨を十分に尊重し,原子力開発利用長期計画を本日決定いたしました。
 本計画は直ちに閣議において報告し,関係各省庁の施策に反映させる所存であります。
 今回の長期計画は約20年間を展望し,今後10年間についての原子力発電,動力炉開発,核燃料,安全確保,環境保全,原子力船,原子炉多目的利用,核融合,放射線利用等の各般にわたる開発利用の基本的な考え方とその施策の大綱を明らかにしたものであります。
 今後のエネルギー供給においてはエネルギーの安定供給を確保するのみでなく,きれいなエネルギーを供給すべきであるとの要請がますます強まっており,この点から適切な管理のもとに,きれいなエネルギーを供給できる原子力発電に対する期待が高まっております。このような要請に応えて所要の原子力発電規模を実現していくため,大規模化,多様化する原子炉施設の安全性の確保,環境の保全,立地の確保,核燃料サイクルの確立等に努め,全体として整合性のある原子力開発利用をすすめていくべきであるとしております。
 とくに,安全性の確保,環境の保全を図るためには,放射線の管理について厳格な規制措置を講じ,放射性物質の放出については国際的基準を下まわることはもとより,実行可能な限り低くおさえるよう努めてきたところでありますが,今後一層必要な研究開発をすすめ,その万全を期してまいりたいと考えております。
 政府は今後,新長期計画の方針に沿って,所要の施策を講じていく所存でありますが,本計画達成のためには関係各界の一層の協力を強く期待するものであります。


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