第6章 濃縮ウラン
1. 概要

 わが国の原子力発電の開発規模は,昭和60年度には約6,000万kWに達し,これに伴う濃縮ウランの需要は,年間分離作業量(SWU)にして自由世界の約15%に相当する8,000トンに達するものと予想されている。
 このように米国につぐ大需要国であるわが国としては,これら大量の濃縮ウランの安定的確保を図ることが重要な課題であるが,とくに米国の既設濃縮工場による供給能力が限界に達すると見られる1980年(昭和55年)頃以降,新たに必要とされる濃縮ウランを安定的に確保する必要がある。このため米国およびフランスのガス拡散分離技術による国際共同濃縮事業の可能性につき調査検討をすすめるとともに,究極的な安定確保をめざして,所要濃縮ウランの一部を国産化するため,原子力特別研究開発計画として遠心分離法によるウラン濃縮技術の研究開発を強力に推進することとしている。


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