第5章 核燃料
1. 概要

 わが国の原子力発電が本格的な実用期にはいった結果,核燃料に対する需要は急激な増加を示しており,また使用済燃料の排出量も今後,急増する見通しである。
 したがって核燃料の安定的供給,有効利用等のための核燃料サイクルの確立がますます緊要な政策課題となっている。
 ウラン資源に乏しいわが国にとって,天然ウランの確保はきわめて重要な問題であるが,これについては長期,短期の購入契約による確保を図るとともに,将来は開発輸入により所要量の1/3程度をまかなうことを目標に,カナダ,オーストラリア等において,ウラン資源の調査探鉱活動を積極的に行なっている。
 濃縮ウランについては,その確保対策がわが国を含め原子力発電推進国の最大の関心事であることから,国際共同濃縮計画をめぐり活発な動きがみられた。一方,国内においては,原子力委員会は,遠心分離法によるウラン濃縮技術開発を原子力特別研究開発計画として強力に推進することを決定し,国産濃縮工場実現のために,本格的にその技術開発に取組むこととなった。
 燃料加工については,国産体制が整い,47年度においては軽水炉燃料の大部分および研究炉用板状燃料のすべてが国内事業者によって加工供給された。また軽水炉のジルカロイ被覆管については,ようやく国産品を電力会社により炉内試用される段階に至った。
 昭和46年から東海村に建設が進められているわが国最初の使用済燃料の再処理施設については,昭和50年の操業開始を目標に,順調に工事が進められ,すでに現在,建家の内装,主要機器の据付等の工事が行なわれている。また,これに関連し使用済燃料の輸送に関する国内法令の整備のため所要の検討がすすめられている。


目次へ          第5章 第2節へ