第3章 安全性の確保
1. 概要

 原子力開発利用は,放射能を安全に管理することによってはじめて,その円滑な進展が可能となるものである。したがって,原子力開発利用を進めるにあたっては,安全性の確保が不可欠であり,国は従来から必要な法的措置およびこれに基づく厳重な規制や諸施策を行なうとともに,安全性のより一層の向上を図るために安全性研究を実施してきた。
 昭和47年度においては,さらに原子力施設の設置運営に関しての地方公共団体等および原子力事業者との連絡調整ならびに放射線の監視および地方公共団体等の行なう放射線測定業務等についての指導などを行なうため,5月に福井県敦賀市に原子力に関する専門職員を派遣常駐させた。さらに福島県にも専門職員を派遣すべく準備を進めてきたが,本年6月から常駐させ,業務を開始した。そのほか,48年5月に安全審査の拡充,効率的運用を図るため,安全審査室を設置する一方,原子力に関する正しい知識の普及と理解の一層の向上に資するために,公開資料室を設置し,原子力関係資料の縦覧に供するとともに関係地方公共団体に同資料を送付して縦覧に供することになった。
 また,科学技術庁原子力局および通商産業省公益事業局は,原子力施設の安全対策の徹底を図るため,前年度にひきつづいて,原子力施設の安全管理責任者および関係官庁の安全対策責任者よりなる「原子力施設安全管理連絡会議」において,安全管理に関する協議連絡を行なっている。
 さらに,原子力施設をめぐる安全性の確保に関する諸問題について具体的な検討を行なうために,原子力委員会は,環境安全専門部会に,安全研究分科会を設置し,鋭意審議を進めてきたが,近くこれらの問題について具体的な方策を明らかにする予定である。


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