2. エネルギー需給の動向

 世界におけるエネルギー供給の動向は,第2-1図に示すとおりで,年々着実に増加している。石油は1961年から1970年までの10年間に2倍以上と大幅な増加を示し,1960年にエネルギー供給全体の32.6%であったものが1970年には42.9%と大きく上昇している。石炭については,過去10年間に約1割程度増加したにとどまり,1960年には全体の半分以上を供給していたものが1970年には34.4%に低下している。
 国別の消費量についてみると,1970年現在,米国は石炭換算で約22.8億トンと世界全体の1/3を消費し,1人当りの消費量でも世界平均の約6倍と他国に比して格段に多量のエネルギーを消費している。米国についでソ連が石炭換算で約10.8億トンと全体の15.8%を占めており,これらに,日本,西独,英国等が続いている。

 今後のエネルギー需要予測については,1970年代を通じて年率4〜5%程度増加し,1980年には1970年の約1.5倍になるものと考えられている。原子力については,現在,まだエネルギー供給に対する寄与率は小さいが,原子力発電や原子炉の多目的利用の進展に伴い,1985年(昭和60年)には米国で約15%日本でも約10%と急速に増大し,世界全体では1980年に約5%,1985年には約10%程度に達するであろうと予想されている。しかし,近年におけるエネルギー供給に対する危機感の高まりとともに,エネルギー供給全体に占める原子力の割合は,当初の予定を上回り,さらに増加することも考えられる。


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