第13章 保障措置
1. 概要

 わが国における原子力の研究,開発および利用は原子力基本法の中で,平和目的にのみ限ることと規定されている。この基本法の精神にのっとり,核原料物質,核燃料物質および原子炉の規制に関する法律およびその他の関連規程が定められており,これらの法規に基づき,核原料物質および核燃料物質の管理が行なわれている。
 また,わが国は,外国から核燃料物質等を入手するにあたって,これらを軍事目的に転用しないことを約束し,これが遵守されることを確認するための国際原子力機関(IAEA)による保障措置を受け入れている。
 最近の原子力開発利用の著しい進展を反映し,わが国に対する保障措置の適用は急速に増加しており,このため最適の核物質計量管理システムの開発,保障措置技術の開発等により保障措置適用の合理化,効率化を図ることが各方面から強く要請されている。
 昭和45年3月の発効以来,核兵器不拡散条約(NPT)にはこれまでに79ヵ国が批准または加入しており,昭和47年度においてはオーストラリア,タイ国,フィリピン等が新たに締約国となった。また,NPT第3条に基づいて締約国がIAEAとの間に締結する保障措置協定は,これまでに34ヵ国がIAEAとの間に交渉を終了した。


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