II 原子力委員会の計画および方針

8 アイダホ原子炉実験所における非常用炉心冷却設備の実験に関する原子力委員会委員長談話

(46.6.1)

 わが国の原子炉の設置許可の審査に当っては,炉の安全性について従来から万全を期してきたところである。今回のアメリカ原子力委員会のアイダホ原子炉実験所における原子炉の非常用炉心冷却設備の実験に関する報道については,安全に関する問題であり,本委員会は,とり急ぎ5月27日アメリカ原子力委員会に対し,本件に関する見解と,より詳細な資料の送付を依頼するとともに調査を行なってきている。
 これまで得られた情報を総合すれば,同実験は小規模,かつ,1ループのもので,実際の非常用炉心冷却設備を十分に模擬したものではないが,その実験結果は,一部の機能について,その安全余裕が当初予想されていた程には大きくないのではないかということを示唆しているものと解される。しかし,実際の炉には,各種の安全施設が重複して設けられており,アメリカにおいても既設炉の運転に何ら変更を加えていない現状にあり,原子炉の停止を必要とするような問題ではないと考えられる。
 しかしながら,本問題の重要性にかんがみ,本委員会および原子炉安全専門審査会においてさらに慎重に検討を進めるとともに,早急に専門家をアイダホ原子炉実験所,アメリカ原子力委員会その他関係機関に派遣し,調査させることとした。
 原子炉の安全問題については,原子力委員会においても十分の体制をとって対処しているので,国民各位におかれても政府および原子力委員会を信頼し,慎重な態度でのぞまれることを希望する。


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