第9章 放射線利用

§1 概要

 放射性同位元素(ラシオアイソトープ)や各種放射線発生装置を利用する事業所は,医学,農業,工業等の各分野において,遂年増加し,昭和46年度末現在では,総数は2,556にのぼっており,昭和45年度末の2,091に比べて22%増加している。放射線利用事業所数の年度推移を(第5-1図)に示す。
 昭和46年度における特徴としては,品質管理,工程管理等の放射線利用の定着,拡大に伴い,民間企業の伸びがいちじるしく,全利用事業所数の39%を占めるにいたっている。
 このような放射線利用における実用化の伸展とともに,各分野での研究開発も積極的に推進されている。とくに昭和46年度においては食品照射研究開発基本計画にもとずく食品照射とくに馬鈴薯の放射線照射に関する研究が終了し,46年6月報告書が提出された。近く食品衛生法上の諸手続を経て,実用化される予定である。
 一方,放射線利用の実用化に伴って,ラジオアイソトープの需要も毎年増加しており,そのための供給については,日本原子力研究所を中心として需要の多い核種に重点をおき,その量産化を図るとともに,海外に依存することの困難な短寿命核種についても開発を進めている。

 昭和46年度におけるラジオアイソトープの供給状況は(第9-1表),(第9-2表)に示すとおりである。


目次へ          第9章 第2節へ