第8章 原子力船
§1 原子力第1船の開発

3 定係港の建設等

 原子力船「むつ」の原子炉ぎ装工事,燃料交換,廃棄物処理,その他の運航支援業務を行なう定係港については,昭和42年11月,青森県むつ市に定係港の設置が決定して以来,約80,000平方メートルの用地を確保して核燃料交換棟,岸壁,岸壁クレーン,曳船等必要施設の建設工事を進めてきた。
 昭和46年度においては,新燃料貯蔵設備,燃料交換設備,原子炉プラントシミュレータ,原子力船展示館等の工事を進め年度内にすべてを完了した。
 現在,定係港では原子力船「むつ」の原子炉機能試験を中心に必要な業務を実施するとともに,今後行なわれる出力上昇試験等にそなえて放射線安全管理設備,廃棄物処理設備,使用済燃料貯蔵設備等の工事を進めており,原子力船「むつ」に燃料を装荷する昭和47年9月までに工事を完了する予定である。
 また,原子力船「むつ」の乗組員の養成訓練については,在来船の運航について十分な経験を有する者に対し,原子炉の運転,放射線防護等に関する知識および技術を原子力船の就航に先立ち習得させる必要があるため,昭和42年以来,日本原子力研究所,放射線医学総合研究所等原子力関係機関による原子力研修および定係港に設置した原子炉プラントシミュレータによる運転実習等を続けている。
 このほか,原子力船の就航にそなえて,実験航海の実施計画,安全説明書,運航要領の作成,保安規定,操船手引書の作成等を急いでいる。


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