第7章 動力炉開発
§3 新型転換炉の開発

1 概要

 新型転換炉としては,中性子経済がすぐれ,転換率が高く,燃料利用率の高い重水減速型炉や高温ガス炉等の開発が各国においてすすめられている。
 重水減速型炉については,カナダが原子炉開発の当初よりその開発を積極的に進めてきたが,重水減速加圧重水冷却型炉(CANDU-PHW)を発展改良させた重水減速沸騰軽水冷却型炉(CANDU-BLW)の原型炉(電気出力250千kw)を1970年に完成し,1971年4月から送電を開始している。また,英国においては,同じ重水減速沸騰軽水冷却型の原型炉(SGHWR電気出力100千kw)を1967年に臨界に至らしめ,その後順調な運転を続けている。高温ガス炉については,西ドイツおよび英国が,それぞれ実験炉の建設運転経験をもとに電気出力約300千kwの原型炉の建設をすすめている。
 一方,わが国では,軽水炉の技術と経験を活用でき,かつ,核燃料の多様化と有効利用をはかる観点から重水減速沸騰軽水冷却型炉を新型転換炉開発の目標としている。
 動力炉・核燃料開発事業団は,先に述べた基本方針および基本計画に基づき,初期装荷燃料として,微濃縮ウランおよび一部プルトニウム富化天然ウランを用いる電気出力165千kw(目標200千kw)程度の重水減速沸騰軽水冷却型の原型炉を昭和50年に臨界に至らせることを目標に建設を進めている。原型炉は,原子力委員会における事前の評価検討を昭和44年度に終え昭和45年度には,内閣総理大臣の原子炉設置許可を得,建設工事に着手した。同時に原子炉の建設に必要な研究開発が行なわれている。新型転換炉の開発計画を(第7-2図)に示す。


目次へ          第7章 第3節(2)へ