第7章 動力炉開発
§2 高速増殖炉の開発

4 研究開発

(1) 炉物理
 実験炉の模擬臨界実験については,日本原子力研究所に設置されている高速臨界実験装置(FCA)を用いて昭和45年度にはプルトニウム燃料による部分モックアップ実験を行なったが,昭和46年度は,プルトニウム燃料によるフルモックアップ実験を行ない実験炉の炉心設計および安全性の確認に役立てた。
 原型炉の模擬臨界実験については,昭和46年度より英国原子力公社と同公社所有の大型臨界実験装置ZEBRAを利用した共同研究計画「MOZA-RT計画」により,原型炉のフルモックアップ実験を開始した。
 その他,高速炉用炉定数の作成,炉心計算法の開発,燃焼解析法の開発等がすすめられた。

(2) ナトリウム技術
 ナトリウム中での構造材料の特性を調べるため,材料試験ループおよび放射化材料試験ループによって,質量移行試験,内圧クリープ試験を行ないその解析をすすめている。またナトリウム中で使用する計測器を開発するためナトリウム技術開発ループにより,流量計の特性試験等を行なっている。
 昭和44年度に完成したナトリウム流動伝熱試験装置を使って,昭和46年度には,実験炉用ブランケット燃料集合体および炉心燃料集合体の耐久試験および崩壊熱除去の試験が行なわれた。
 さらにナトリウムに関する研究をすすめるため,現在ナトリウム分析施設,中純度材料試験ループ,自己融着摩耗試験ループおよびナトリウム配管装置の整備が進められており,昭和47年度から試験研究が行なわれる予定である。

(3) 主要機器部品の開発
 実験炉の主要炉体構成機器である回転プラグ,燃料取扱装置,炉内構造物等の試作開発については,昭和45年度から46年度にわたって試作後の大気中あるいは水中での作動試験を終え,ナトリウム機器構造試験装置に組み込み,その大気中総合試験を終了し,さらにナトリウム中総合試験に着手した。
 実験炉用制御棒駆動装置については,昭和46年度に水中試験,ナトリウム中試験を終了し,現在試験結果の解析を行なっている。また実験炉に使用する主循環ポンプ等の耐久試験を行なうための装置が完成し,昭和47年度にはいってナトリウム中での確性試験を開始した。
 原型炉用構造機器については,すでに燃料取扱装置,大型弁等について予備的な試作開発および1MW蒸気発生器の試験,運転をすすめてきたが,昭和46年度から研究開発が本格化し,50MW蒸気発生器および試験施設の建設,原型炉炉心の1/2の模型による水流動試験装置の製作,燃料中継機構の試作および制御棒駆動機構の試作等に着手した。

(4) 計測制御,遮へい研究
 実験炉に使用する計測制御用機器については,炉外中性子検出器の確性試験を行なうとともに,炉内中性子検出器,破損燃料検出器,燃料チャンネル閉塞検出器,流量計等の試作開発を行なっており,また,実験炉の動特性,制御系の解析および蒸気発生器の動特性モデルの開発をすすめた。
 遮蔽研究については,透過解析コード,ガンマ線発熱設計コード等を開発したほか,日本原子力研究所のJRR-4を用いた中性子透過実験,東京大学の高速中性子源炉を用いた不規則形状実験等を行なった。

(5) 燃料,材料の開発
 燃料ピンの開発に関しては,東海事業所のプルトニウム燃料第1開発室において,実験炉用燃料の製造試験を昭和45年度までに終了し,現在は原型炉用燃料の製造試験を行なっている。また昭和46年度に完成した同事業所のプルトニウム燃料第2開発室において,実験炉用燃料の製造準備を開始した。
 材料の開発については,ひきつづき制御棒,遮へい材,構造材について製造試験,物性測定,高温,ナトリウム中試験等を行なった。
 燃料,材料の照射については,日本原子力研究所の材料試験炉(JMTR),フランスのRAPSODIE,米国GE社のGETR等の原子炉を利用して燃料ピン,被覆材等の照射を行なった。また,照射燃料の試験は,従来照射燃料試験施設(AGF)によって行なわれてきたが,昭和46年度に,照射材料の試験を行なう照射材料試験施設(MMF)が新しく建設され,昭和47年度から操業される見通しである。

(6) 安全性
 実験炉の炉容器モデルの耐衝撃試験,1次冷却系配管破断に関する研究,ナトリウム過度沸騰試験等を実施するとともに,核分裂生成物の挙動を試験するためのナトリウム・インパイル・ループ,ならびに核分裂生成ガスの放出の研究および燃料ピンの接触の研究をするための燃料破損伝熱試験装置の製作がすすめられた。また原型炉用蒸気発生器の安全性を研究するため,大リーク・ナトリウム―水反応試験装置による試験が行なわれ,昭和46年度にはさらに,小リーク・ナトリウム―水反応試験装置がほぼ完成した。


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