第6章 環境保全
§2 放射性廃棄物の処理処分

2 放射性固体廃棄物処理処分検討会

 放射性固体廃棄物の処理処分の具体的方策について,内外の動向等を十分に把握し,処理処分のあり方と今後行なう必要のある研究開発等の検討を行なうことを目的として,昭和44年9月原子力局に,「放射性固体廃棄物処理処分検討会」を設け検討を進めてきたが,昭和46年6月に報告書が提出された。その概要は次の通りである。
 最終処分の方法としては,陸上処分と海洋処分とがあるが,わが国のおかれた諸条件を考慮すると,処分方法を画一的に決定することは困難であり,放射性廃棄物の種類,性状および発生量等に応じて最終処分の方法を採用することが望ましい。レベルの低い放射性廃液,雑固体等を濃縮,減容した固化体については,これを深海に処分しても安全を確保し得る見通しがあると考えられるので,必要な海洋調査を行ない安全評価を行なったうえで処分キュリー数を十分低く抑えた試験的処分により十分安全性を確認したのち,海洋処分に移行するものとする。また,雑固体の処分については,海洋処分のほか所要の調査研究を行なった後,土中埋没により処分する可能性も考えられる。さらに,低いレベルの廃棄物は,陸上に保管廃棄する可能性も考えられる。中程度のレベルの使用済イオン交換樹脂等については,均圧容器,耐圧容器等の技術が確立されるまでの間は貯蔵施設に保管しておき,これらの技術が確立した時点において,最終処分の方法をさらに検討することが必要である。処理処分に関する研究開発としては,放射性固体廃棄物の発生量の低減,放射性物質の浸出性,取扱上の安全確保と効率化とを目標として固型化方法の確立,前処理における新しい濃縮技術の開発,処分の際の輸送,投棄技術の開発,土中埋没に必要な調査研究等が必要である。
 原子力委員会は,同報告書の趣旨を勘案し,新原子力開発利用長期計画において,低いレベルから高いレベルまでの放射性廃棄物の処理処分について方針を明らかにし,とくに低いレベルの放射性廃棄物については,所要の研究開発等適切な措置を講ずることによって,海洋処分または陸地処分しても十分安全を確保し得るとの見通しを明らかにした。


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