第6章 環境保全

§1 概要

 わが国では,原子力開発利用の当初から安全性の確保に万全を期するとともに,放射性物質の環境への放出については,ICRPの勧告に基づく放射線防護基準を下廻ることはもちろん,実行可能な限り,これを低減させるよう努力してきたところであるが,今後における原子力発電規模の増大や使用済燃料の再処理工場の建設等原子力開発利用の進展に伴い,環境の保全に一層の努力が必要である。
 かかる状況に対処するため,わが国の国土面積,人口密度,海洋資源への依存等,自然的,社会的諸条件を考え,環境保全に対する社会的要請に応えるため,昭和47年2月原子力委員会は「環境・安全専門部会」を設置した。
 一方,放射性廃棄物の処理処分については,昭和46年6月に「放射性固体廃棄物処理処分検討会」の報告書が提出され,今後の放射性固体廃棄物の処理処分のすすめ方が示された。
 環境放射能調査については,放射線医学総合研究所をはじめ,国立試験研究機関,都道府県衛生研究所等において従来にひきつづき一般環境,食品等を対象として行なった。
 放射能対策本部は,中国の三回にわたる空中核爆発実験に伴い,放射能調査体制を強化して調査を実施したが,いずれの場合も大きな影響はみられなかった。


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