第5章 安全性の確保
§2 原子力施設の安全対策

2 核燃料物質の使用にともなう安全対策

(1) 核燃料物質の使用許可および検査
 核燃料物質の使用に伴う安全性については,「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規則に関する法律」(原子炉等規制法)にもとづき規制が行なわれている。すなわち,核燃料物質(300グラム以上のウラン,900グラム以上のトリウム,濃縮ウラン,照射済燃料,ウラン233およびプルトニウム)を使用しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可を受けなければならない。また,1グラム以上の密封されていないプルトニウムおよび100キュリー以上の使用済燃料を使用しようとする者は,使用許可のほか保安規定の認可および施設検査を受けなければならない。
 昭和46年度末現在,これらの使用許可を受けている事業所は131あり,このうち,5事業所が非密封プルトニウム1グラム以上を使用し,9事業所が100キュリー以上の使用済燃料を使用している。
 昭和46年度には9事業所について施設検査が行なわれたが,いずれも核燃料物質の使用に際し,その安全性が確認されているものと認められた。また,核燃料物質の使用許可を受けている施設に対し,その使用状況,核燃料物質の管理状況等について随時立入検査が行なわれており,46年度は37施設について行なわれたが,その使用状況はおおむね良好であった。

(2) 核燃料物質の加工事業許可および検査
 核燃料物質の加工の事業をおこなおうとする者,または変更しようとする者は,原子炉等規制法にもとづき,内閣総理大臣の許可をうけ,さらに建設工事の着手前に設計および工事の認可,工事の施行過程および完成時に施設検査,また,操業開始前には保安規定の認可をそれぞれ受けなければならないこととなっている。
 昭和46年度には,三菱重工業(株),三菱金属鉱業(株)および米国のウェスチングハウス社(WH)社の3社による合弁会社三菱原子燃料(株)の設立について許可申請があり「加工施設の安全審査指針」にもとづき,加工施設の立地条件,事故および災害に対する安全性の解析,評価ならびに臨界管理等の検討が行なわれた結果,同社に対し加工事業を許可した。
 なお,三菱原子燃料(株)の設立に伴って,三菱金属鉱業(株)は転換加工に係る事業を,また三菱原子力工業(株)は動力炉燃料の成型加工に係る事業をそれぞれ廃止した。
 したがって昭和46年度末現在,核燃料物質の加工事業の許可を受けているのは6社6事業所である。
 設計および工事の許可は昭和46年度には8事業所15件を行なった。
 また,施設検査を,5事業所について行なったが,核燃料物質の加工に際し,その安全性が確保されているものと認められた。


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