第4章 濃縮ウラン
§2 ウラン濃縮に関する海外諸国の動向

1 濃縮ウランの需給

 世界的に軽水炉が支配的になりつつある今日,ウラン濃縮はますますその重要度を高めてきている。
 各国の原子力発電計画から判断すると世界の濃縮需要は今後急速に増大するものと見込まれ,米国原子力委員会(USAEC)の報告(1971年6月)によれば,自由世界の原子力発電の開発規模は1980年には約240,000千kwに達するものと見込まれており,これにともない濃縮ウランの需要も1980年には分離作業量で約30,000トンに達するものと予想されている。
 他方自由世界における唯一の濃縮ウラン供給国は米国であり,工場の改良等により生産能力の増強を図る計画はあるが,それでも1980年頃には需要が米国の生産能力を越えるものと予測されている。各国ともこの事態に対処するため,自給体制の確立,多国間による国際共同濃縮計画の推進等により安定した濃縮ウランの確保を図るべく努力している。


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