第4章 濃縮ウラン

§1 概要

 わが国の原子力発電開発規模は急速な進展を示しており,昭和60年度にはその発電規模は約60,000千kwに達するものと見込まれており,これに必要な濃縮ウランの需要も急速に増大するものと予想されている。
 すなわち一方においては新型転換炉(ATR)を昭和50年代後半に,高速増殖炉(FBR)を昭和60年代前半に実用化することを目標に開発が進められているが,今後10数年間に建設が予定されている原子力発電所は主として濃縮ウランを使用する軽水炉であり,また新型動力炉が導入されたとしても引き続き相当量の濃縮ウランが必要になると予想されている。
 したがって,わが国の原子力開発利用を推進するためには,これらの濃縮ウランを安定的に確保して行く必要がある。とくに米国の濃縮ウランの供給能力が今後の増設を加味しても限界に達し,需要が供給を上回ることが予想される1980年(昭和55年)頃以降に新たに必要とされる濃縮ウランの確保については早急に検討し,具体策を打ち出さなければならない。


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