第2章 原子力発電
§2 原子力発電所の建設

1 原子力発電所の運転・建設状況

 昭和47年7月10日現在,わが国で稼動している商業用発電炉は4基,総電気出力1,323千kwである。昭和46年度における運転実績は(第2-1表)に示すとおりである。昭和46年度中に新たに運転開始した商業用原子炉はなく,現在建設中の商業用原子炉は14基で10,547千kwである。((第2-2表)参照)
 このように原子力発電所の建設は増加の一途をたどっており,昭和47年7月10日までに運転中または建設中の商業用発電炉は18基で11,870千kwに達している。
 東京電力(株)では福島県双葉町および大熊町に,福島原子力発電所の建設を進めているが,同発電所1号炉が,昭和46年3月より営業運転を開始し現在稼動中であるほか,2号,3号,4号,5号炉の4基を建設中である。同発電所2号炉は昭和43年3月より建設を開始し,昭和46年12月に原子炉圧力容器,昭和47年2月に発電機のすえ付けを開始するなど,昭和48年5月運転開始をめざして順調に工事が進められている。3号炉は昭和45年1月その設置が許可され,昭和46年6月に,原子炉格納容器のすえ付けを開始するなど昭和49年12月運転開始をめざして建設中である。4号炉および5号炉はそれぞれ昭和47年1月,昭和46年9月にその設置が許可されたばかりで準備工事並びに基礎工事の段階である。
 関西電力(株)では美浜発電所1号炉が昭和45年11月より営業運転に入っているほか若狭湾沿岸に6基建設中である。美浜発電所2号炉は昭和43年5月から昭和47年7月運転開始を目標にその建設が進められてきたが,昭和47年3月には燃料を装荷し4月には初臨界に達している。美浜3号炉は昭和47年3月その設置が許可され,昭和51年7月完成をめざし,現在,土地造成など基礎準備工事が行なわれている。また福井県大飯郡高浜町に高浜発電所1号,2号炉を建設中であり,1号炉は昭和49年8月運転開始をめざして昭和47年3月には復水器の組み立てを開始している。2号炉は昭和50年7月運転開始をめざして46年4月には格納容器のすえ付けを開始している。
 中国電力(株)では島根原子力発電所の建設を進めており,昭和47年3月には原子炉圧力容器の建屋へのつり込みを完了するなど,昭和48年11月運転開始をめざして建設が順調に進んでいる。
 さらに福井県大飯郡大飯町に大飯発電所1号,2号炉を51年7月および52年1月運転開始を目標に建設を進めている。
 中部電力(株)では,浜岡原子力発電所の建設を準備してきたが,昭和46年5月漁業補償等が解決し昭和49年11月運転開始をめざして本格的建設に入っており,12月には原子炉格納容器のすえ付けを開始している。

 九州電力(株)では昭和45年12月の設置許可以来佐賀県東松浦郡玄海町に玄海発電所の建設を進めており,昭和47年1月には原子炉格納容器のすえ付けを開始するなど昭和50年7月完成をめざしている。

 東北電力(株)では宮城県牡鹿郡女川町および牡鹿町に昭和45年12月女川原子力発電所の設置が許可され,現在建設準備工事中であり漁業補償についての交渉等に努力がなされている。


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